社会の役に立つ、いい事業だから、きっとお金を貸してもらえる——。気持ちはよく分かりますが、融資の審査で見られるのは思いの強さではなく「毎月の返済をどこから出すか」という返済の根拠です。YouTube「にきたま」第15回の内容から、決算書と事業計画書の使い方を整理します。

この記事のポイント

  1. 審査で見られるのは「返済の根拠(返済原資)」損益計算書の営業利益・経常利益から、毎月の元本返済ができるかどうか。
  2. 決算書は「会社の1年間の成績表」損益計算書(PL)で稼ぐ力を、貸借対照表(BS)で財務の安全性を示します。
  3. 借りた後も、決算書と事業計画書を持って報告に行く過去の成績と、これからの行動計画の両方を伝えることが、次の融資への信頼につながります。

「いい事業だから貸して」が通じない理由

融資は、返してもらうことが前提のお金です。そのため審査では、事業の理念がどれだけ立派かよりも、本業のもうけ(営業利益)の中から毎月の元本返済が無理なくできるかが確認されます。これを「返済原資」と呼びます。

社会課題の解決を目指す事業向けの融資枠を設けている金融機関もありますが、融資である以上、担当者が上司や審査部門を説得する社内の審査(稟議)を通す必要があるのは同じです。動画では、担当者が審査で説明できる数字をこちらから渡すことが最低限のルールだと解説しています。

日本政策金融公庫と民間銀行では、付き合い方が違う

どこから、どんな目的で借りるかによって、借りた後の付き合い方も変わります。動画での解説をまとめると次のとおりです。

  • 日本政策金融公庫などの政府系:最初の審査で事業計画・資金使途・返済原資をしっかり確認し、返済が順調であれば、その後は定期的な報告を求めないケースが多い
  • 民間の銀行:取引先の格付けを定期的に見直しているため、追加の融資や借入枠の拡大を考えるなら、年1回の決算書だけでなく日頃から状況を共有しておくことが信頼につながる

決算書は「会社の1年間の成績表」

確定申告が終わると、決算書を見返さなくなる経営者は少なくありません。しかし決算書は、この1年でどれだけ稼ぎ、お金をどう回し、決算日にどんな財務状態だったかを、客観的な数字で示した会社の成績表です。

  • 損益計算書(PL):売上から費用を引いて、どれだけ利益を生み出したか=稼ぐ力
  • 貸借対照表(BS):資産・負債・純資産のバランス=財務の安全性

経営者自身がこの2つを読み解き、銀行や出資者に数字で説明できて、はじめて信用につながります。

借りた後こそ、報告に行く

決算が終わったら、自分から銀行へ報告に行くことは大きなプラスになります。持っていきたい書類は2つです。

  1. 確定した決算書過去1年間の成績を示すもの。
  2. 事業計画書これからどうやって黒字を保ち、返済原資をつくるのかという、未来の行動計画。

銀行が知りたいのは、過去の数字だけでなく「これからどうするか」です。借りっぱなしにせず、情報を更新して相手を安心させることが、次の融資の機会につながります。

審査は「書面」で決まる。事業計画書に書きたい3つのこと

面談で熱意を伝えることも大切ですが、実際の審査は、あなたがその場にいない会議室で、提出した書類をもとに進みます。事業計画書には、理念だけでなく次の3点を、筋道立てた文章で書いておくことが大切です。

  1. なぜこの事業が今必要なのか社会的な背景や、事業を始める理由。
  2. どうやって売上を立て、営業利益を残すのか収益の仕組み(収益ロジック)。
  3. 毎月いくらの返済原資をつくるのか数字による裏付け。

動画は、書籍『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』(小暮真久 著、ダイヤモンド社)の第6章「出資者」をテーマに、会計の実務の視点から解説したものです。

動画で詳しく(約9分)

YouTube「にきたま@現役会計士が読むソーシャルビジネス」より

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よくあるご質問

融資の審査では何を見られますか?

事業の内容に加えて、本業のもうけ(営業利益)の中から毎月の元本返済ができるかという「返済の根拠(返済原資)」が確認されます。決算書と、今後の収支を示した事業計画書が判断材料になります。

融資を受けた後、銀行に報告は必要ですか?

金融機関や借入の内容によって異なります。将来の追加融資を考えるなら、決算書と事業計画書を持って自分から報告に行くことは、信頼関係づくりに役立ちます。

相談は無料ですか?

はい、初回のご相談は無料です。福岡市博多区の当事務所で、融資・資金調達や事業計画のご相談をお受けしています。お電話(092-263-8060)またはフォームからどうぞ。

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大串 和義

監修 大串 和義(公認会計士・税理士)

大串公認会計士・税理士事務所 代表。福岡市博多区。公認会計士と税理士のダブルライセンスで、税務申告から経営分析まで一貫して対応します。一般社団法人まぜこぜむら 村長。